独立調査
TCC Japan(株式会社日本サラブレッドコミュニティクラブ)
株式会社(2006年設立、滋賀県栗東市本社)。関連事業:TCCセラピーパーク・PONY KIDS・メタセコイアと馬の森。角居勝彦氏のサンクスホースプロジェクトと連携。
公開: 2026年6月13日最終更新: 2026年6月13日
会費制寄付型月額: ¥1,500〜支援頭数: 50~
概要
TCC Japan(株式会社日本サラブレッドコミュニティクラブ)は、引退競走馬を支援する仕組みとして「引退馬ファンクラブ TCC」を運営する株式会社です。2006年に前身となるスタイルバンク株式会社として東京都港区で設立され、後に代表者の出身地である滋賀県栗東市に本社を移転しました。スローガンは「馬と共に社会をゆたかに」。本社には人と馬の福祉施設「TCCセラピーパーク」を併設しています。
主力事業は3つに分かれます:
引退馬ファンクラブ TCC:会員制で引退馬を支援する中核事業
PONY KIDS:ホースセラピーを活用した児童発達支援・放課後等デイサービス
メタセコイアと馬の森:滋賀県高島市の観光養老牧場
引退競走馬の支援だけでなく、ホースセラピーを通じた子どもへの支援、観光資源としての馬の活用と、馬と社会を結ぶ複数の入り口を提供しています。元JRA調教師の角居勝彦氏が進める「サンクスホースプロジェクト」とも連携しています。
団体の特徴は、全国の提携施設で会員が引退馬と直接触れ合える点と、会員間の交流を前提とした構造にあります。RHA(認定NPO法人)が寄付を起点とする支援であるのに対し、TCCは「参加」を起点とする支援といえます。
参加方法と費用
TCCの支援構造は三層になっています。「会員になる」と「特定の馬を支援する」は別の意思決定で、初見では混同しやすい点に注意が必要です。
第1層:基本会員
月会費を支払うことで会員資格を得る
全国のTCCホースに会いに行く権利、乗馬の権利
会員限定アプリの利用、オープンチャットへの参加
全国支部(北海道、東北、関東、東京、中部、関西、中国四国、九州)の定例会への参加権
会費はTCC全体の運営費に充当される(間接的な引退馬支援)
第2層:サポーター制度(追加加入)
ホースサポーター(500円/口)、シェルターサポーター等、特定の馬や施設への継続的な金銭支援
寄付控除はない(営利法人のため)
「特定の対象に支援が届く」形式
第3層:TCCオーナー(追加加入)
一口・半口オーナーとして馬の所有権の一部を持つ
オーナー専用コミュニティ、月次レポート
基本会員にプラスした会費
会費はTCC全体の活動を支える位置づけで、「特定の馬への直接的な金銭支援」を求めるならサポーター契約やオーナー契約の追加が標準的な形になります。この区別を最初に理解しておくと、自分の支援スタイルと制度を照合しやすくなります。
具体的な金額は公式サイトで確認してください。
届く情報
会員限定アプリ:施設検索と訪問予約が主機能。情報配信機能(プッシュ通知やニュース配信等)はありません。アプリ自体はTCCの活動を知るためというより、訪問計画を立てるためのツールです。
会報誌:基本会員には届きません。一度だけ、ホースシェルターの一口オーナー目標達成の報告がありました。
LINEグループ:数ヶ月に1回程度の頻度で連絡があります。
TCC公式サイト:イベント情報、ホースシェルター活動報告(ウマレポ)等は、自発的にチェックする必要があります。能動的に情報を取りに行かないと、引退馬の近況や活動内容に触れる機会は限定的です。
オープンチャット:会員間チャット。会話頻度は低く、発言があっても既存メンバー間の親しい話題が多い印象です。新規会員が参加しやすい雰囲気かは、加入時期や支部によるかもしれません。
TCCオーナー専用情報:一口・半口オーナーになるとオーナー専用コミュニティと月次レポートが提供されるとのこと。基本会員からは見えない情報層が存在します。
サポート対応:例外的に良かった点として、アプリ登録に問題が生じた際、週末でも即時に返信があり迅速に解決しました。能動的な情報配信は弱いものの、個別の問い合わせ対応は手厚い印象です。
総じて、受動的に情報が流れてくる仕組みではないため、関与度は会員自身の能動性に依存します。
実際に参加してみて
筆者は2026年3月にTCCに入会し、本記事執筆時点で3ヶ月が経過しました。関東在住・会社員という条件下での体験を整理します。
提携施設訪問はゼロのまま
TCCが価値の中心に据える「全国の提携施設で引退馬に会える」点に、筆者はまだアクセスできていません。理由は構造的なものです:
・東京の最寄り提携施設でも片道2時間程度
・最寄りの施設が午前のみの対応
・1ヶ月近く前からの予約が必要
会社員勤務の状況では、これらの条件を同時に満たして訪問計画を立てるのが難しく、入会から3ヶ月で訪問回数はゼロです。これは個人の生活条件によるもので、TCCの仕組みの問題ではありません。ただ、関東圏在住の会員にとって「直接の触れ合い」の価値を享受するハードルは高いという事実は記録しておくべきと考えます。
関西在住者であれば、TCCセラピーパーク(栗東)やメタセコイアと馬の森(高島)が拠点として機能するため、状況は大きく異なるはずです。
単発イベントには参加できた
2026年3月のホースメッセでは、TCC代表の講習会に参加できました。不定期に開催される公開イベントは、平日定期訪問よりも参加しやすい形態です。
東京支部の定例会は土曜夕方に原宿で開催されています。週末の予定や移動範囲との折り合い次第で参加可否が分かれる時間帯です。筆者は定例会には参加できていません。
会員間交流の実体験
オープンチャットには加入していますが、会話頻度は低く、発言があっても既存メンバー間の親しい話題が中心という印象です。他の会員との交流経験はほぼありません。
TCCオーナーになるとオーナー専用コミュニティが用意されているとのことで、関与の深さは会員プランによって階層化されている構造です。
支援実感はサポーター契約から生まれた
筆者にとって「自分は支援している」と感じる瞬間は、ホースサポーターとして500円/口の継続支援を開始したときでした。会員資格そのものはTCC全体の運営を支える間接的な貢献ですが、「特定の馬に支援が届いている」という実感は、サポーター契約による継続的な金銭関与から得られています。
入会後3ヶ月の時点で「楽しんでいる」と明確に感じる瞬間は、まだ得られていません。馬と触れ合える条件が整えば変わる可能性は高く、これは今後の継続次第です。
参加前に知っておきたいこと
基本会員になっただけでは、特定の馬への金銭支援は発生しません。会費はTCC全体の運営に充てられ、間接的に引退馬支援に貢献する形です。「ある馬に対して継続的に支援が届く」関係を求めるなら、サポーター契約またはオーナー契約の追加が必要です。
公式サイトには記載されていますが、サポートの種類が多く、初見では把握に時間がかかる点を理解しておくと、入会後の体験とのギャップが小さくなります。
寄付控除はない
TCCは株式会社のため、会費・サポーター費・オーナー費のいずれも寄付控除の対象になりません。税制優遇を重視するなら、認定NPO法人のRHAが候補になります。
居住地と勤務形態がアクセス性を大きく左右する
「全国の提携施設で引退馬に会える」という価値を享受できるかは、居住地・勤務形態・時間の柔軟性に強く依存します。次のような条件が揃うとアクセスしやすくなります:
関西在住、またはTCCセラピーパーク・メタセコイアと馬の森に通える距離
平日午前または週末に時間を作れる
1ヶ月前からの予約計画を立てられる
逆に、関東以北の会社員勤務者にとっては、提携施設訪問のハードルが高くなる構造です。入会前に自分の生活条件と照合しておくことをおすすめします。
受動的に情報は届かない
会員になれば自動的に引退馬の近況や活動情報が流れてくる仕組みではありません。会員限定アプリは情報配信機能を持たず、会報誌は基本会員には届きません。情報を取りに行く能動性が前提です。
TCCオーナーになるかで関与度が変わる
オーナー会員になると専用コミュニティと月次レポートが提供され、関与度は大きく上がります。ただし会費は基本会員より高額です。基本会員のままでも会員資格は維持されますが、TCCの活動を深く知る経路は限定されます。
まとめ
TCC Japanは「参加」を起点とする引退馬支援の選択肢です。会員制度・サポーター制度・オーナー制度の三層構造で、会員資格はTCC全体の活動を支える間接的な貢献、特定の馬への直接支援はサポーター契約・オーナー契約が担う構造になっています。
価値の中核は「全国の提携施設で引退馬と直接触れ合える」点ですが、これを享受できるかは居住地と時間の柔軟性に強く依存します。関西在住で時間を作れる人にとっては強力な選択肢になる一方、関東以北の会社員勤務者には構造的なアクセスハードルがあります。
寄付型・税制優遇を重視するなら認定NPO法人のRHAが、参加型・直接的な触れ合いを重視するならTCC Japanが、それぞれ向いています。両者は競合ではなく補完関係にあり、自分の支援スタイル・生活条件に合った入り口を選ぶ材料として、両記事を並べて読むことを推奨します。
筆者自身はTCC基本会員+ホースサポーターとして支援しています。提携施設訪問のアクセス制約は大きいですが、サポーター契約による金銭関与で「特定の馬への支援が届いている」という実感は得られており、関与の形を選んで継続することは可能です。
本記事は筆者が独自に調査・参加した体験に基づきます。なお、本記事は関東在住・会社員という条件下での体験に基づきます。読者ご自身の条件に応じて参照してください。